プリンスアイスワールドに行ってきました
7月19日(金)~22日(月)までの間、
「プリンスアイスワールド2019~2020 Brand New Story東京公演」を、きょう見に行ってきました。
競技のフィギュアスケートも含め、生で見たことは一度もなかったですし、フィギュアスケートの中継などを見て心を動かされたこともほぼなかったため、あんまり期待していなかったのですが、想像の何倍も楽しめました。
プリンスアイスワールドとは?
1978年に始まった、日本初のアイスショーとのことです。
いわゆるスポーツ競技として行われているフィギュアとは異なり、自由度の高いパフォーマンスが見られる、、というのがホームページからは読み取れます。
行く前の印象は「荒川静香さんが見れる」というもの。
今回、ホームページを見ていただけたらわかるとおり、
7月20日では「荒川静香、本田武史、安藤美姫、小塚崇彦、村上佳菜子、織田信成、本田真凜、本田望結、樋口新葉」がゲスト出演しました。
まさか、自分が全員名前を知っている……!
見に行った動機はミーハー心100%です。
というか、そもそもアイスショーがどんなものか知りません。
サッカーならキックオフがあってから45分×2。野球なら9回の攻防があって、
どんなところで盛り上がり、どんなところで盛り上がるのか、わかっています。
それは戯作の類でも共通で、起承転結だったり序破急だったり、
ある程度、「こういうものだろうな」というのがわかっています。
アイスショーってどんな形なんだろ? とい疑問というか不安というかが、
けっこう強くありました。
15時30分からの回だったのですが、想像以上に東伏見駅が遠く、
15時15分くらいに会場に着きました。
なんか蒸し暑かったですね、きょうは。
席についたらこんなかんじ。
その後、あっという間に会場が暗くなり、大音響が鳴り響きました。
始まってみて
上記もしたとおり、有名なスケーターのパフォーマンスを眺められたらいいな、くらいの気持ちだったため、とにかくボサッと観覧スタート。
オープニングは、大勢の黒い衣装をまとったスケーターたちが出てきました。
メガネを忘れてしまい「うわ、こうやって出てくるんだ、荒川静香を見分けられるか不安だな、、」とか思っていたのですが、どうやら上記したようなゲストとは別のスケーターたちのようです。
むしろゲスト以外のスケーターのほうが多く、ゲストも合わせ、オープニングでは四角形のリンクに勢揃いしました。
楽しみ方がわからない
アイスショーの形式自体がわからないので、いつこの沢山の人たちと、ゲストたちがパフォーマンスするのかわかりません。
集団行動みたいなものは「前奏」的なものなのか、これも「本番」なのか……?とモゴモゴしていたら、暗転した会場内の大きなスクリーンに本田望結さんの名前が表示され、拍手が起こりました。
「いわゆるフィギュアの試合の1部のような、曲に合わせてパフォーマンスし、終わったらお礼&拍手のやりとりがあって、退場」という流れで1回。
その後、本田真凜さんなどが続いていき、
「あぁ、こういうのを繰り返していくのを見ていればいいのね」と納得(このあたり、撮影禁止なので写真はありません)。
しかし生でみるスケートはスゴイですね。なにしろ速い。
加速・滑走・停止が自在なのだから当たり前かもしれませんが、CGっぽいというかワイヤーアクションっぽいというか。非現実感があります。
TVで見ているとカメラワークで追随してしまうから感じにくいが、とんでもない速さで近づいたり遠ざかったりしている。
へええ、と思っていると、ところどころ、集団行動みたいなスケーターの演技が混ざります。
たしかに、彼らも素人からするとスゴイ動きです。
というか、正直に言うと、自分からみると「単品」で動く有名選手と「集団」で動くスケーターの優劣は全くつきません。
とかなんとか考えていると、自分のテンションがどんどん下がっていくのを感じました。
多分、彼らはみな、一度は金メダルを目指した「スケート選手」だったのだろうな…。
なにしろ大人になってもまだ、スケートし続けていることを許されているレベルなわけです。
おそらく「おらが町一番の天才スケーター」であり、世界を狙っていたし、嘱望されていたのでしょう。
しかし、どんな世界でもそうですが、トップに上り詰める人はほんとうにごく一握りです。
荒川静香さんはそれを成し遂げ、ほかのスケーターはそこまで至らなかった。
自分は、荒川静香さんなら知っているけど、集団で滑っている人を知らない。
金メダルとは言わずとも、本田武史さんや安藤美姫さんのように、一時は日本を背負い、
自分のような門外ですら知っている人は、選手ではなくなっても稼ぐことができる。
残りは引き立て役か……。
彼らは「現役」を断念してからどれくらい経つのだろう。
本田姉妹はもちろん、ついこないだまで現役だった村上佳菜子さんよりずっと年上、という人もいるだろう。
うーーーん。。失礼ながら、そんなことばかり気になってしまった。
と、思っていたのですが、織田信成さんあたりでテンションが上がってきました。
素人でもわかるような「すごい」動きです。
タレント的なお仕事もたくさんされているだろうに。
あれだけの動きができるコンディションを保っているのは、それだけで尊敬できます。
そんななか前半が終了。
↑インターバルの整氷風景です。
スタディーコーナーというもので、魅力に気がつけた?
後半前に「スタディーコーナー」というものが始まって、これが自分には素晴らしかったです。
まず、「十把一絡げの埋め草的なもの?」と感じていた集団行動は「シンクロナイズドスケーティング」というもので、
そのパフォーマンスに含まれるの要素が、
スクリーンに投影された映像で実にわかりやすく紹介され、
紹介された内容をプリンスアイスワールドのスケーターが、
眼の前で実演してくれる、というものでした。
・ライン
・ブロック
・インターセクション
・サークル
・ウィール
だったかな。名前は怪しいですが、内容は一度で頭に入ってきました。いやすごい。
名前と内容が分かると、彼らがやっていることが端的にわかりはじめ、魅力に気が付きはじめました。
たしかにインターセクションはすごい。
あの速さ・あの間隔での交差は信じられない精度です。
白いステージ上、自分の視界よりも広い範囲を、猛スピードだったりゆっくりだったりで動く人間が、正確な動作をつづけていて、アートを一切理解できない自信がある自分でも「すごさ」はわかる。
なんとなく隊列が乱れているのか、「次の動作に向かう途中」なのか、動きの意味がわかってくると、その完成度の高さに舌を巻きます。
ふわっと心が浮き立つのを感じつつ、後半はやたらと楽しめました。
村上佳菜子の「シンドラーのリスト」は難解で自分には魅力がわからず。
樋口新葉、本田武史は十分楽しめました。
そして、合間にはいるシンクロナイズドスケーティングに対する解像度がいきなり上がってきて、食い入るように見始めてしまった。
これは有意義な試みだなぁ。
なにしろ、素人でも分かるように解説し、その席を立たない間に、現物のパフォーマンスで知識の反復を行えるのですから。
終盤、和風な演出が施された演目では、彼らの美しい動きに感動し始めていました。
有名スケーターの引き立てだなんて、とんでもない。彼らこそ現役なんだ、と思うようになっていました。
むしろ有名スケーターは彼らのための「客寄せ」でしかなく、
このイベントはシンクロナイズドスケーティングを紹介するためのマーケティングなんじゃないか、、と感じていたのでした。
視力が微妙な自分の目でも見える彼らの笑顔に、応援したいような、応援されているような気持ちになってきて、
フィナーレではちょっと涙ぐむくらいまでに感動したところで終演となりました。
安くはないな、と感じていたチケット代は、十分に元をとれました。
彼らのパフォーマンスの価値が、もっと伝わるリレーションはできないもんかなぁ。
会場へ足を運ばない99%の人は、「へぇ荒川静香ね」ってところで止まっていると思われます(もちろん、荒川静香さんの生イナバウアーが見れて、そこはとても嬉しかったのですが/笑)。
そこにモヤっとしたものを感じながら、西の町を後にしたのでした。
※画像を修正しました(7月29日)